上達における4つの視点

合気武術の上達において、私は大きく分けて四つの視点があると考えます。

 

1.

まず一つ目には、「自分自身を“正確に”把握する」という事です。

自分自身の事は、自分で思っているほど理解出来ていない事が多く、
ちゃんと出来ているつもりで、実は全然違う事をやっていた、なんてこともよくある話です。

そういう時には、相手の指摘やアドバイスを素直に聞く事が一番有効です。
それでも、アドバイスを上手く噛み砕く事が出来ないな〜と思う時には、
鏡を見ながらやってみたり、動画に撮ってみたりするのも良いと思います。

客観的に見ると、何て無駄な事をしているのか!と驚くと思いますよ。

私自身、動画に撮ってどの動きが無駄を作っているかを研究しますし、
ちょっと前に撮った動画を見て「これではダメだな」と笑ってしまう事もあります。

 

2.

二つ目には、「相手の状態を把握する」という事です。

合気武術は相手の状態を無視しては掛かりません。

たまたま上手く行ったとしても、別のシチュエーションでも同じ事をやろうとして、失敗に終わる事があります。

これは「こうやれば上手く行く」という思い込みのもと、相手をそれに押しつけているから起こる事で、
多くは無駄な動きが技の流れを邪魔しています。

よく「どうやったら技が掛かりますか?」といった質問が見受けられますが、基本的にはそこに正解はありません。

『相手が浮くためには、あるいは崩れるためには自分はどう動けば良いのか』という事を追求することでしか答えは見つけられないと思います。

 

3.

三つ目は、「自分の成長」という視点です。

簡単に言えば、出来た事を発展させて、より難しい事にチャレンジしていくという考え方です。

相手に、より厳しい持ち方をしてもらったり、より軽い力で技が掛かるように工夫する事で、
人に教わる受動的な学習から、自ら創り出していく能動的な学習(研究)へと変化していきます。

この主体性が備わらないと「稽古会では技が出来るのに、外では掛からない」というオカシな状況になってしまいます。

この現象は習字に例えるとよく分かるのですが、稽古会で技をやるのは『お手本を見ながら書を書いている』状態で、外で技をやるのは『お手本を見ずに書を書く』事と同じだという事です。

自分の中に「書を書くとはこういうものだ」という芯がなければ、お手本が無くなった途端に何をどうすべきかが分からなくなってしまいます。

普段からその点に気をつけて稽古していると、上達のスピードはかなり違ってくると思います。

 

4.

四つ目は、「相手の成長」という視点です。

自分がある程度出来ると感じるようになると、ちょっとだけ自分本位になりがちです。
実はそこに落とし穴があって、「自分は出来ている」というのが思い込みになってしまう事が、まぁ多々多々あります。

そのため、人にアドバイスをする時に「自分の場合はこうやる」というのをあたかも正解かのように言う事は非常に危険です。

前の項目でお伝えしましたが、合気武術は相手本位のものですから、相手を自分の「正解」に押し込めようとするのは必ず無理が生じます。

ここでもやはり相手に素直に従い、相手のやり易い方法で技が行えるように指導できれば、多様性を認めるという事で自らの稽古に役立つと思います。

 

 

 

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