仙心会合気武術の隠れたテーマ②

前回のブログの続きです。
タイトルの「隠れたテーマ」というのは全身を均一に遣うことを指します。

 

1.

全体一致(と呼ぶ事にします)は、合気武術への理解を深めるのにも役立ちます。

自分の体が居付いている(力が偏っている)と、技がやりづらいというだけではなく、相手の力がどこから発しているかが見えにくくなってしまいます。

逆に言うと、全身が上手にリラックスしていて力が分散できていれば、相手の力の出どころを見抜くことができるようになります。

これは組み合ったときばかりではなく、人がやっているのを横から見ても「あ〜、ここで引っかかってるから上手くいかないんだな」とわかるようになります。

また、相手の力(あるいは意識)の濃淡がわかるようになると、例えば天地投げのような両手取りの技では、相手の左右の手のどちらにより強い力が加わっているかが瞬時に判るようになり、強い力は避け、弱い力に合わせていくと、特別なことはしなくても、結構相手は崩れてくれるものです。

 

2.

この天地投げの崩しは、相手の身体における不均一を埋めて均一にし、また相手と自分との関係も、距離を無くして力の差も無くし、均一にしています。

これは、大げさに言うと「自他合一」の感覚であり、掛ける方は自分の身体が限りなく透明になり、受ける方は技を掛けられたのか、それとも自分で投げられに行っているのかわからない感覚になります。
そしてそれは、とても心地良い感覚です。

相手の欲するところを柔軟に受け入れ、なおかつ自分の思うように導く、というのが合気武術の究極の姿の一つだと思いますが、その一端を技を通して体感しているのではないかと感じます。

また、さらにこれを発展させ、合気の最終目標である「天地自然一切との融和」へと繋げていけるのではないかという事さえ予感させます。

 

3.

頑張って欲しいものを掴み取る事が美徳となっている昨今ですが、「頑張る」という字は「頑なに主張する」ということですから、人との揉め事が絶えないのも当然です。

相手が頑張ればこちらは控え、相手が緩めばこちらは入る、あるいは、相手の頑張りがこちらの追い風になり、相手の弱いところに注ぎ込む、そんな技が合気武術にはたくさんあります。

それが正解だとは決して言いませんが、頑張るだけではどうにもならない問題への解決の糸口が、もしかしたら合気武術にはあるかもしれません。

 

4.

最後に、全身一致の応用として、こんなのがあるんじゃないかな、というものをご紹介します。

走る:
(特徴)疲れにくい。スピードが乗ると楽しい。
・片足跳びを左右交互に行う感じ。
・最初は膝から下だけを動かして練習した方が身につきやすい。
・足にかかる重さを半身で受け止め、半身を使って跳ぶ。
・荷物を持っている時は、荷物の重さも含めて半身と考える。
・慣れてきたら、体捌きを入れてピッチを上げる。

ドアを開ける:
(特徴)小さい力で開ける。小さい隙間で入る。
・押して開けるドアの場合、片手取りのような感じで全身を使ってドアを押す。
・引いて開ける場合は、差替えの体捌きでドアを開け、そのままの体捌きで中に入る。

物を持ち上げる:
(特徴)小さい力で持ち上げる。腰を痛めにくい。
・足底は浮きで軽くして、腰と荷物の重さが同じになるように意識する。
・足の置き方、膝の向きに注意して、下半身の力で持ち上げる。
・限界以上の重さの物を上げられるというよりも、80%の力で限界と同じ重さの物が上げられるという感じ。

飛び降りる:
(特徴)身体のまとまりを確認するのに良い。
・大人がやると思ったより衝撃が強く、首を痛める可能性がある。
・無理せず、階段5段分くらいからやってみる。
・足底にかかる衝撃を全身に散らす。
・膝や腰を曲げ過ぎて地面にぶつけないよう注意する。
・楽にできるようになると、仙骨のまとまりを確認できる。

稽古ではやってはおりませんが、日々子どものような真似事をしてあれこれ研究しております。
気になる方はお伝えしますので、遠慮なくお尋ねください。
あくまで私自身に合ったやり方ですので、ご了承ください。

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