↑甲野善紀先生
2017年10月29日に開催されました、甲野善紀先生の仙台稽古会に参加してきました。
参加人数は多くはありませんでしたが、奥深いお話を聞くことができ、参加して良かったな〜と思いました。
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その一つは、
「人は自分が決めた設定が崩れる事に耐えられない」ということです。
甲野先生はいじめ問題を例にお話されました。(以下、私の解釈です)
いじめる側は、いじめられる側が困るであろうことを予測していじめを行います。
しかし、いじめられている側が全く困らない、あるいは意に介さない、あるいはむしろ有り難がっていると、いじめている側は自分の設定したイジメ構図が崩壊して、イジメを継続できなくなる、というお話でした。
体術で表現すると、相手はこちらの動きを制しにくる、そこに「困ったな、どうしよう」という想いで向き合うと〈制する⇔制される〉という構図が成立します。結果、こちらの動きは相手に制御されてしまいます。
そこで、こちらは相手の意図をありありと見つめ「ああ〜、なるほど、相手はこういう風に追い詰めたいんだな〜」と感心していると、こちらは当事者から観察者へと移行し、相手にとっては邪魔する対象がいなくなってしまう。結果、こちらは制されることなくスルッと抜けられるという感じです。
体術を人間関係の悩みと絡めて考えることは往々にしてありますが、これも何かのヒントになりそうな予感がしました。
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そして、講習会で「なるほど〜」と思ったもう一つは『クッション性の高いシューズを履くランナーほど故障が多い』ということです。
この頃、甲野先生は講習会では必ずヒモトレ(ひもを使って身体の機能向上を確認する講座)を披露されますが、服の上からゆる〜く巻きつけたひもが確実に身体機能に影響を及ぼしているのだから、人の身体は靴底からフィードバックされる地面の感覚を確実に認識している、とおっしゃっています。
靴底にクッションやジェルを入れて緩衝させても、身体が予測する反動と地面から帰ってくるフィードバックとにズレが起こり、これは意識に上らない違和感となって身体の機能を狂わせるのではないかということです。
脚にかかる衝撃が少なくなれば、脳は「楽になった」と感じるかもしれないけれど、身体全体としては「硬いアスファルトに見えるけれど、返ってくる衝撃はムニャムニャしているなぁ」と違和感を感じている。これが却って問題を大きくしているのではないでしょうか。
現代人は、割とこういった的はずれな対処法をおこなって、問題を増やしているのかもしれません。
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他にも、内観のお話や虎拉ぎなど、為になる講話や実技が満載でした。
みなさんも次の機会がありましたら、ぜひご参加ください。
(レポート:平田)
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